シングルバーナー考。可搬性、可用性、コスパから最適解を考えてみる。

こんばんは。アウトドアライターの谷木です。

突然ですが、「ご飯を作って食べる」時間って、とても幸せですよね。特に家以外で作る料理。ブッシュクラフト、登山、キャンプ、車中泊。素敵な風景を眺めながら、自分で作った出来たてのご飯をその場でいただく。

そんな旅の道中にお供するシングルバーナー(ワンバーナー)ですが、これから登山やキャンプを始めたいと思っている方で、何を選んだらいいか迷っている方も多いのではないでしょうか。バーナーの燃料だけでも

・ガス OD(アウトドア)缶
・ガス CB(カセットボンベ)缶
・灯油
・アルコール
・ガソリン
・ホワイトガソリン

と種類が多く、決めるのが大変ですよね。

結論から言えば、カセットガスボンベが一番ラク

はい。いきなり結論ですが、カセットボンベ缶(CB缶)を燃料としたバーナーを使うのが、一番便利です。

「カセットボンベって、自宅で鍋パーティーするための、カセットコンロに使うやつでしょ…?」

いやいや、CB缶を侮るなかれ。こやつは凄いんですよ。ふっふっふ。

可搬性はまあまあGood

アウトドアフィールドで使うのであれば重要なポイントになってくる「可搬性」。ポータビリティ、携帯性とも言います。要は持ち運びしやすいか否か。

燃料の種類 可搬性
ガス OD(アウトドア)缶
ガス CB(カセットボンベ)缶
灯油
アルコール
ガソリン
ホワイトガソリン

持ち運びやすいのは、なんといっても液体ガス。その中でも高い圧力にも耐えるコンパクト仕様のOD缶が可搬性では抜きん出ています。

CB缶はOD缶に次いで可搬性の高い燃料です。液体燃料系は、持ち運びに専用缶を必要とするものがほとんど。プラ容器に入れたまま持ち運びが可能なのはアルコール容器くらいでしょう。

また、JR各社の規定により、車内への可燃性液体の持ち込みが禁止されているため、電車での移動時に液体系は使えないんですよね。CB缶は2リットルまたは2kgまで持ち込みできますよ。

可用性はGood!

「可用性」=アベイラビリティとは、どんなときでも使いやすいかどうか、という基準です。

燃料の種類 可用性
ガス OD(アウトドア)缶
ガス CB(カセットボンベ)缶
灯油
アルコール
ガソリン
ホワイトガソリン

可用性ってIT系の用語なので相応しくない表現かもしれませんが、いつどんな時でも使える、という基準は大切なので評価項目に加えました。

可用性を考える上で重要なポイントだと思うのは、手に入りやすさと、寒い場所でも使えるか否か、です。

手に入りやすさは、CB缶がダントツ1位。

CB缶は間違いなく一番手に入りやすい燃料でしょう。スーパー、ホームセンター等で売っていますし、多くのコンビニでも扱っています。OD缶はアウトドアショップやホームセンター以外で取り扱っていません。

【CB缶】
◎スーパー、◎ホームセンター、◎コンビニ、◯アウトドアショップ

【OD缶】
◎アウトドアショップ、△ホームセンター

【灯油】
◎ガソリンスタンド(セルフ以外)、◯ホームセンター、◯アウトドアショップ

【燃料用アルコール】
◎ホームセンター、◎アウトドアショップ

【ガソリン】
◎ガソリンスタンド(セルフ以外)

ホワイトガソリン→△アウトドアショップ、△ガソリンスタンド(一部・セルフ以外)、△ホームセンター

CB缶は寒い場所が弱点。

CB・OD缶に含まれているガスは、大きく分けて3種類。ノルマルブタン、イソブタン、プロパンの3つです。それぞれ沸点が異なり、沸点を下回ると気化せずに火力が下がる、着火しない、などの問題が発生します。

それぞれガスの沸点は、ノルマルブタンが-0.5度、イソブタンが-11.7度、プロパンが-42度なので、氷点下ではノルマルブタンはまず気化しないと考えて良さそうです。

また、蒸気圧(密閉された容器内に液体及び気体ガスが共存する時の圧力)はプロパン>イソブタン>ノルマルブタンの順に高く、CB缶はOD缶と比較してガス内圧に弱いので、ノルマルブタン主体の缶が多い、ということを憶えておきましょう。

CB缶の中でも比較的、寒さに強く作られた缶もありますので、次回以降のエントリーで説明していきますね。

コスパは灯油とガソリンが圧倒

まず、燃料ごとの発熱量を確認してみましょう。

燃料の種類 発熱量(kcal/g)
ブタン 11.8
プロパン 11.9
灯油 10.3
アルコール 7.1
ガソリン 11.3

アルコール以外はどれも似たりよったりですが、発熱量の高い順からプロパン>ブタン>ガソリン>灯油>アルコールとなっています。

では、それぞれの価格と発熱量をかけ合わせて計算してみましょう。

CB缶は、1缶100円、250g入、ブタン100%と仮定します。
OD缶は、コスパの高いEPIgasのGAS CARTRIDGES 500パワープラスカートリッジを基準とします。460gで692円。ノルマルブタン70%、プロパン30%の割合です。

灯油は、 1,667円/18L、ガソリンは148円/L(直近価格)で計算します。アルコールはケンエーの燃料用アルコール4880円/10Lで計算します。

ホワイトガソリンはJX日鉱日石エネルギーの7980円/18Lを基準とします。

それでは、発熱量あたりの価格を比較してみましょう。

【CB缶】
100÷250÷11.8=0.034円/Kcal

【OD缶】
692÷460÷(11.8*0.7+11.9*0.3)=0.127円/Kcal

【灯油】
1667÷18000÷10.3=0.013円/Kcal

【アルコール】
4880÷10000÷7.1=0.069円/Kcal

【ガソリン】
148÷1000÷11.3=0.013円/Kcal

【ホワイトガソリン】
7980÷18000÷11.3=0.039円/Kcal

ということで、燃料のコストパフォーマンス比較はこうなりました。

燃料の種類 コストパフォーマンス
ガス OD(アウトドア)缶
ガス CB(カセットボンベ)缶
灯油
アルコール
ガソリン
ホワイトガソリン

ホワイトガソリンは高いイメージがありますが、ガソリンより高いものの、カセットボンベと比較しても同じくらいのコストパフォーマンスということがわかりました。

厳冬期・冬山だけはCB缶以外を用意すべし

CB缶はその性質上、寒さに弱く、氷点下をメインフィールドした環境では向いていません。厳冬期や冬山登山を検討している方は、CB缶以外の燃料を検討してください。

【OD缶】
寒さに強いプロパン入りOD缶の新品持参を推奨します。中古品はプロパンが抜けている可能性あるため。

【灯油】
寒さに弱いためおすすめしませんが、植村直己が北極点やグリーンランドで使用していたのは灯油コンロ。テント内でもコンロを多用していた植村さんは、誤って火がつく心配の少ない(発火点が高い)石油コンロをあえて利用していました。

【アルコール】
沸点が高く、ガスやガソリンよりも重量当たりの熱量が低いため、登山には向いていません。

【ガソリン・ホワイトガソリン】
寒さに強く、冬山登山者の標準装備になっています。

以上から、低温下でのバーナー使用は、OD缶もしくはガソリン・ホワイトガソリン系をおすすめします。

CB缶でダメそうなら、他を検討しよう

以上、各種燃料を比較しましたが、トータルバランスで優れているのはCB缶。コスパ重視・寒冷地での使用がメインの方であればガソリンが向いていると言えそうです。

そもそもブッシュクラフトは、現地で調達できるものは調達し、持っていくものを最小限にするという特徴があります。もし焚き火が認められている場所でキャンプしたり可住環境を整えるのであれば、シングルバーナーすら持参しない、という選択もありえるでしょう。

購入してから検討する(後悔する)のではなく、よく下調べをしてからシングルバーナーを購入するようにしましょう。宝の持ち腐れになっちゃいますよ!

アウトドアライターの谷木でした。ではまた!

  • ブックマーク
  • -
    コピー

この記事を書いた人

TanikiRyo

アウトドアライターの谷木です。ブッシュクラフト研究団体、TOKYO OUTDOOR主宰。東京・奥多摩町地域おこし協力隊所属。地域活性化、移住関係の記事など書いてます。元SE、元コワーキングスペース店長。ラヂオと音楽、それに唐揚げがあれば生きていける気がする。お仕事をくれる、なんていう奇特な方はDMください!